不動産の売却益とは?計算方法や税金の節税方法について解説

不動産の売却益とは?計算方法や税金の節税方法について解説

不動産を売却すると、税金が発生する場合があります。
その税金は、売却によって得た「売却益」に課されるもので、売却前の資金計画の段階でおおよその金額を把握しておくことが大切です。
そこで今回は、不動産の売却益とはなにか、その計算方法や売却益に課される税金の節税方法について解説します。
不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の売却益とは

不動産の売却益とは

売却益とは、不動産を売却して得た利益のことです。
売却益は譲渡所得ともいい、売却益を得た場合は、その金額に対して「所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課されます。
これら3つの税金を総じて、譲渡所得税といいます。
売却益が多ければ、それだけ課される譲渡所得税も多くなり、売却益がなかった場合は、税金は課されません。
つまり、売却益を得られるかどうかによって、税金の負担が異なってくるのです。

売却益が得られるかどうかを確認する方法

不動産の売却益が得られるかどうかは、以下の計算式によって把握できます。
売却益=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
それぞれの項目の内容は以下のとおりです。

●譲渡収入金額:不動産の売却価格
●取得費:不動産の購入代金と購入時に支払った費用
●譲渡費用:不動産の売却時に支払った費用


上記の計算式からわかるように、不動産を売却して得たお金から、購入時や売却時に支払った費用を経費として差し引き、最終的に残った金額が「売却益」です。
この売却益に対し、譲渡所得税が課されるのです。

譲渡所得税は確定申告が必要

譲渡所得税は分離課税であるため、給与所得などとは別に計算しなければなりません。
したがって、売却益を得た場合は、個人で税額を計算し確定申告をして納税します。
確定申告は売却した翌年におこなうため、どれくらいの税額になるのかを把握し、その分のお金を準備しておきましょう。

不動産の売却益を計算する方法

不動産の売却益を計算する方法

不動産の売却益は、売却価格から経費を差し引いて計算することを前章で解説しましたが、より具体的な計算方法について見ていきましょう。
ポイントは、取得費と譲渡所得の算出方法です。

取得費について

取得費は、不動産の購入代金と、購入時に支払った費用(印紙税や仲介手数料など)を合計して算出します。
ただし、建物は、購入金額を取得費として計上することはできません。
建物は年数の経過とともに劣化することで価値が下がるため、売却時までの「減価償却費」を差し引いて計上します。
減価償却費は、以下の計算方法で算出します。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
この計算方法で用いる「償却率」は、建物の材質や構造ごとに以下のように異なります。

●木造:0.031
●軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm超4mm以下):0.025
●鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:0.015


たとえば、建物の価格が2,000万円の木造住宅を10年後に売却するケースで計算すると、以下のようになります。
減価償却費=2,000万円×0.9×0.031×10年=558万円
つまり、この場合の建物の取得費は、2,000万円-558万円=1,442万円となるのです。
なお、土地については年数の経過とともに価値が減少するものではないという考えから、減価償却はおこないません。

譲渡費用について

譲渡費用は、不動産の売却代金と、売却時に支払った印紙税や仲介手数料、測量費、解体費といった諸費用を合計して算出します。
これらのほかに、貸家を売る場合に、借家人に立ち退いてもらうために支払う立退料なども譲渡費用になります。
ただし、修繕費などの不動産を維持するための費用や管理費は、譲渡費用として扱うことはできません。
譲渡費用は、あくまで不動産を売却するために直接かかった費用だということを覚えておきましょう。

特別控除制度を利用する場合

譲渡所得税を軽減するための特別控除制度がいくつか設けられています。
控除制度を利用する場合は、控除額を売却益から差し引いた金額が、実際に税金が課される課税譲渡所得となります。
課税譲渡所得=売却益-控除額
この計算式で算出した金額に税率を乗じたものが、実際に申告する譲渡所得税額となります。

譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。
不動産の所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」、超えている場合は「長期譲渡所得」と区分されます。

●短期譲渡所得:39.63%
●長期譲渡所得:20.315%


つまり、不動産を取得してから5年以内に売却すると、5年を超えたあとから売却する場合に比べ、譲渡所得税が2倍近く高くなるのです。

不動産の売却益にかかる税金の節税方法

不動産の売却益にかかる税金の節税方法

先述のとおり、不動産の売却益が多くなると、それだけ譲渡所得税も高くなります。
売却益を得つつ税金の負担を軽減するために、節税方法を知っておきたいですよね。
そこで最後に、不動産の売却益にかかる譲渡所得税を節税する方法について解説します。
譲渡所得税を節税するコツは、以下の2つです。

●税率が下がるタイミングで売却する
●控除制度を利用する


具体的な方法について、順番に解説します。

税率が下がるタイミングで売却する

前章で解説したように、不動産の所有期間が5年を超えた「長期譲渡所得」に該当すると、譲渡所得税の税率が大幅に低くなります。
したがって、不動産を取得してから5年ほどで売却を検討するので、5年を超えるのを待ってから売却したほうが節税できます。

控除制度を利用する

以下のような控除制度を利用することで売却益を少なくできるため、条件を満たす場合は利用することをおすすめします。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売却して得た売却益から、最高3,000万円の控除を受けられます。
一般的な住宅の場合、3,000万円以上の売却益を得られることは少ないため、この特例を利用することで、売却益はゼロ以下になるケースがほとんどです。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
所有期間が10年を超えている不動産を売却する場合に利用できる特例で、3,000万円の特別控除の特例との併用できます。
3,000万円の特別控除を利用して控除額を差し引いた課税譲渡所得が6,000万円以下の場合、税率が14%となり、通常よりも税額が安くなります。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
譲渡損失とは、土地や建物を売却した際に生じる損失のことです。
「売却損」ともいい、売却益の反対語になります。
譲渡損失が生じた場合、譲渡所得税は課されません。
しかし、この特例を利用すると、ほかの所得にかかる税金から控除を受けることができるため、結果的に節税になるのです。
これを「損益通算」といいます。
損益通算によって、ほかの所得から譲渡損失を差し引いても、控除しきれないこともあります。
その場合は、翌年以降の所得から差し引くことが可能です。
これを「繰越控除」といいます。
ただし、繰越控除ができるのは、最大3年間です。
3年後にまだ控除しきれない譲渡損失が残っていたとしても、繰り越すことはできません。
このように、売却益を得た場合には、特別控除制度を利用することで節税できます。
また、売却損が生じた場合でも、ほかの所得から差し引くことで節税できるため、ぜひ控除制度を積極的に利用しましょう。
なお、これらの特例は確定申告をおこなわなければ利用できないため、忘れずに手続きしてください。

まとめ

不動産の売却益とは、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた利益のことで、その金額に対して譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税を節税するためには、取得費と譲渡費用を漏れなく計上し、税率が下がるタイミングで売却するのがコツです。
また、いくつか控除制度が設けられているため、条件を満たす場合は利用して節税に繋げましょう。